Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくめんそうやくしゃ
百面相役者
江戸川 乱歩
Lesen Sie 百面相役者 (ひゃくめんそうやくしゃ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.801 Zeichen · 20 Bildschirme
「あれとは?」
「ソラ、例の『人肉の面』の一件ですよ。百面相役者の」
僕が声を落してさも一大事という調子で、こう聞くとね。驚いたことには、Rの顔が妙に歪み出したものだ。そして、今にも爆発しようとする笑声を、一生懸命かみ殺している声音で、
「アア『人肉の面」か、あれはなかなか面白かったね」
というのだ。僕は何だか様子が変だと思ったけれど、まだ分らないで、ボンヤリと彼の顔を見つめていた。すると、Rにはその表情が余程間が抜けて見えたに相違ない。彼はもう堪まらないという様子で、矢庭にゲタゲタ笑い出したものだ。
「ハハハハハ、あれは君、空想だよ。そんな事実があったら、さぞ愉快だろうという僕の空想に過ぎないのだよ。……成る程、百面相役者は実際珍らしい芸人だが、まさか『人肉の面』をつける訳でもなかろう。それから、首泥坊の方は、これは、僕の担当した事件で、よく知っているが、その後ちゃんと犯人が上っている。だからね、この二つの事実の間には、何の聯絡もないのさ。僕が、それを一寸空想でつなぎ合せて見たばかりなのだ。ハハハハ。アア、例の老ばの写真かい。僕にあんな親戚なぞあるものか。