Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくめんそうやくしゃ
百面相役者
江戸川 乱歩
Lesen Sie 百面相役者 (ひゃくめんそうやくしゃ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.801 Zeichen · 20 Bildschirme
二
そして、かくの如く化ける事の上手な自分は、いうまでもなく天下一の名優だと心得ている。田舎から生れる芸にはよくこの類のがあるものだね。近くでいえば、熱田の神楽獅子などがそれだよ。それはそれとして、存在するだけの値うちはあるのだけれど……」
このRのくわしいちゅう釈を聞いてから、舞台を見ると、そこにはまた一層の味わいがあった。そして見れば見る程、益々深く百面相役者の妙技に感じた。こんな男が若し本当の泥坊になったら、きっと、永久に警察の目をのがれることが出来るだろうとさえ思われた。
やがて、芝居は型の如くクライマックスに達し、カタストロフィに落ちて、惜しい大団円を結んだ。時間のたつのを忘れて、舞台に引きつけられていた僕は、最後の幕がおり切って終うと、思わずハッと深いため息をついたことだ。
二
劇場を出たのは、もう十時頃だった。空は相変らず曇って、ソヨとの風もなく、妙にあたりがかすんで見えた。二人共黙々として家路についた。Rがなぜ黙っていたかは、想像の限りでないが、少くも僕だけは、あんまり不思議なものを見た為に、頭がボーッとしてしまって、物をいう元気もなかったのだ。