Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

まなつのげんえい

真夏の幻影

豊島 与志雄

Lesen Sie 真夏の幻影 (まなつのげんえい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.557 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

広々とした平野である。はてしもなく続いてる荒地の中に、狭い耕作地が散在し、粗らな木立や灌木の茂みも所々に見え、その間を、一筋の街道が真直に続いている。誰の手に成った耕作地か? 誰が通るための街道か? 見渡す限り、農家の部落もなく、道行く人の影もない。そしてそれらの上に、澄みきった大空が、円く蔽い被さっている。大空の真中に、白熱した大きな太陽が懸っている。太陽から発散するぎらぎらした光が、空と地とに一杯漲っている。凡てのものがじりじりと蒸されてゆく。大空の円天井に閉じ籠られてる空間は、電球の内部のように、干乾び窒息して小揺ぎだにしない。大地は暑苦しさに喘いでいる。耕作地は陽炎の息を吐き、草原は凋びきって色褪せた匂いを立て、樹木の葉は力無げに垂れ下り、街道は白い埃に埋っている。そして何物をも焼きつくさんとする炎熱が、凡ての上に力一杯にのしかかっている。そよとの風もない。

やがて、街道の上に、背の高い一人の男の姿が、何処からともなく、いつのまにか、幻のように現われてくる。擦れ切れた草履をはいて、すたすたと歩いている。歩毎にぱっと舞い上る埃が、またすぐ静に消えてゆく。