Japanische Klassiker mit Furigana
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
Lesen Sie 真珠夫人 (しんじゅふじん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.296 Zeichen · 578 Bildschirme
とにかく、彼女の小さい胸は、息う暇もない水鳥の脚のように動いていた。
彼女に一番楽しいのは、夕暮の散歩かも知れなかった。晩餐が終ってから、美奈子は母と青年との三人で、よく散歩した。早川の断崖に添うた道を、底倉から木賀へ、時には宮城野まで、岩に咽ぶ早川の水声に、夏を忘れながら。
箱根へ来てから、五日ばかり経ったある日の夕方だった。美奈子達が、晩餐が終ってから、食堂を出ようとしたとき、瑠璃子はふとその入口で、その日来たばかりの知合の仏蘭西大使の令嬢と出会った。日本好の此の令嬢は、瑠璃子とは可なり親しい間柄だった。彼女は思いがけない処で、瑠璃子に会ったのを可なり欣んだ。瑠璃子は誘われるまゝに、大使令嬢の部屋を訪ねて行った。
美奈子と、青年とは部屋に帰ったものの、手持無沙汰に、ボンヤリとして、暮れて行く夕暮の空に対していた。
二人は、心の中では銘々に、瑠璃子の帰るのを待っていた。が、二十分経っても三十分経っても、瑠璃子は帰りそうにも見えなかった。
青年は平素のように、散歩に出たいと見え、ステッキを持ったり、帽子を手にしたりしながら、瑠璃子の帰るのを待っているらしかった。