Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんじゅふじん

真珠夫人

菊池 寛

Lesen Sie 真珠夫人 (しんじゅふじん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.296 Zeichen · 578 Bildschirme

Aozora Bunko

が、その扉を押し開いた刹那であった。

「おや!」戸外に、叫ぶ声がした。戸外からも、扉を開けようとした人が、思わず内部から開いたので、駭いて発した声だった。美奈子は、直ぐ、そう叫んだ人と、顔を面して立たなければならなかった。それは、正しく母だった。母の後に、寄り添うように立っているのは、もとより彼の青年だった。

「美奈さんじゃないの!」

母は、可なり駭いていた。狼狽していたと云ってもよかった。美奈子は、全身の血が、凍ってしまったように、じっと身体を縮ませながら、立っていた。

「何うしたの? こんなに遅く?」

青年との会話には、あんな冷静を保っていた母が、別人ではないかと思うほど、色を変えていた。

美奈子が、黙っていると、母は益々気遣わしげに云った。

「一体何うしたの、こんなに遅く、着物を着換えて、手提なんか持って。」

四

母に問い詰められて、美奈子は、漸くその重い唇を開いた。

「あの、手紙を出しに、郵便局まで行こうと思っていましたの。」

彼女は、生れて最初の嘘を、ついてしまった。彼女の、蒼い顫いを帯びた顔色を見れば、誰が彼女が郵便局へ行くことを、信ずることが出来よう。