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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんじゅふじん

真珠夫人

菊池 寛

Lesen Sie 真珠夫人 (しんじゅふじん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.296 Zeichen · 578 Bildschirme

Aozora Bunko

箱根も妾何だか飽き/\して来たから。」

その日一杯、平素は快活な瑠璃子は、妙に沈んでしまっていた。青年には、口一つ利かなかった。美奈子にも、用事の外は、殆ど口を利かなかった。たゞ一人、縁側にある籐椅子に、腰を降しながら、一時間も二時間も、石のように黙っていた。

瑠璃子の態度が、直ぐ青年に反射していた。瑠璃子から、口一つ利かれない青年は、所在なさそうに、主人から嫌われた犬のように、部屋の中をウロ/\歩いていた。彼のオド/\した眼は、燃ゆるような熱を帯びながら、瑠璃子の上に、注がれていた。美奈子は、青年の容子に、抑え切れぬ嫉妬を感じながらも、然し何となく気の毒であった。犬のように、母を追うている、母の一挙一動に悲しんだり欣んだりする青年の容子が、気の毒であった。

その日は、事もなく暮れた。平素のように、夕方の散歩にも行かなかった。食堂から帰って来ると三人は気まずく三十分ばかり向い合っていた後に、銘々自分の寝室に、まだ九時にもならない内に、退いてしまった。

翌る日が来ても、瑠璃子の容子は前日と少しも変らなかった。美奈子には、時々優しい言葉をかけたけれども、青年には一言も言わなかった。