Japanische Klassiker mit Furigana
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いしころ
石ころ
山本 周五郎
Lesen Sie 石ころ (いしころ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.450 Zeichen · 23 Bildschirme
娘たちからは驕慢のようにみられていた。……お父上さまの御威勢が高いから。ご縹緻自慢でいらっしゃるから。……そんな言葉がときどき耳にはいってくる、けれど松尾はそれさえ聞かぬふりをしていた、そういう蔭口にはもう馴れていたのである。
「あら今あそこへいらっしゃるのは多田さまではございませんか、ご自分で馬の口を取っていらっしゃる方……」娘たちのひとりがそう云うのを聞いて、松尾は思わず胸がどきっとした。
「ああそうでございます、多田さまでございますよ、どうなすったのでしょう、口取がうしろにいるのにご自分でお曳きなすったりして」「それはなにしろ多田さまですからね」「戦場で兜首の代りに石を拾って来るほどの方ですものね」いかにも可笑しそうにみんなくすくすと笑いだした。それは決して悪意のあるものではなかった、けれど蔭口を面白くしようとする不必要な誇張が感じられた。松尾はまるで自分が嗤われているような耻ずかしい口惜しい思いでわれ知らず頬を熱くしながら云った。
「おやめあそばせ、よくも存じあげぬ方のことをそのように悪口なさるものではございませんわ」云ってしまってから自分でも驚いたほど烈しい調子だった。