Japanische Klassiker mit Furigana
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いしころみち
石ころ路
田畑 修一郎
Lesen Sie 石ころ路 (いしころみち) von 田畑 修一郎 (たばたしゅういちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.254 Zeichen · 39 Bildschirme
ここからいうと、大島もその向うにあっていちような灰色の中にかくれてはいるが、東京のあるあたりは北方だ。あすこには今どんなことが起っているのだろう。あすこには僕の置き去りにしてきた生活がある。いろんなことが一時に胸の中に押し寄せてくる。だが、僕はここに来ている。ここにいる僕は向うに起ることとはいっしょになって生きてはいない、ここは何かしら別物だ。
ちょうど部落の入口に来たとき、そこから路はやや急な坂になっているのだが、上手から一人の着物の前をはだけてひき擦るように着た痩せた男が路いっぱいにふらりふらりと大股に左右に揺れて降りてくるのを見た。咄嗟に気狂いではないかという気がしたので、小わきによけて擦れちがおうとすると、その男はなんだか僕の行く方へ寄ってくる。そのまま二三尺の距離で二人とも立ちどまった。そのとき僕は始めて相手の顔を見た。痩せて尖った顔で、執拗に僕を小高いところから見下している眼つきには、風狂者によくある嶮しさのうちに一脈滑稽じみたところがある。僕が相手の気心をはかりかねて立っていると、その男は立ちはだかったままやはり左右にゆるく揺れていたが、僕を文字どおり上から下までいくらか仕科めいた様子で眺めて、