Japanische Klassiker mit Furigana
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いしころみち
石ころ路
田畑 修一郎
Lesen Sie 石ころ路 (いしころみち) von 田畑 修一郎 (たばたしゅういちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.254 Zeichen · 39 Bildschirme
「君は誰だ」と、訊いた。
僕は間の悪い微笑をした。だが、ある気まぐれが起ったので、
「君は誰だ」と、僕もおうむ返しに訊いた。相手はまたぐらりと揺れて、重ねて、
「君は誰だ」と繰りかえした。
「君が言わなきゃ、僕も言わないよ」
僕はそう言いながら、自分が冗談でやっているのか、本気なのかわからない気持になった。
「いや、わるかった」と言って、頭をちょっと下げたかと思うと、すぐ、
「誰だ」と訊く。
「誰でもいい」
「何しに来た」
「遊びに来た」
「遊びに?――島へ遊びになんか来られちゃ困る」
僕は思わず彼の顔をまじまじと見た。なるほどそうかもしれない。僕はいい加減に「遊びに来た」と答えたが、その男に叱られたように僕の心持なんかただの遊びにすぎないのかもしれぬ。
「いや、君は今度来た水産技師だろう」と、その男はきゅうに叫んだ。
「そうだろう。水産技師だろう」と、いきなり僕の手をつかんで、
「君、たのむ。島のためによろしくたのむ」
と、もうすっかりそれにきめて、人なつこい微笑をうかべた。彼は明らかに酔っていた。
「うん、うん」
「そうか、たのむ。今夜遊びに来たまえ。すぐそこの家だからな」