Japanische Klassiker mit Furigana
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ケーベルせんせいのこくべつ
硝子戸の中
Lesen Sie 硝子戸の中 (ケーベルせんせいのこくべつ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.825 Zeichen · 28 Bildschirme
七
手をたたいて下女を呼んで、すぐ重吉を車で迎えにやるように命じた。そのあいだに飯を食うことにした。
なんだかおかしいという気分もいくぶんかまじっていた。けれども総体に「あの野郎」という心持ちのほうが勝っていた。そのあの野郎として重吉をながめると、宿をかえていつまでも知らせなかったり、さんざん人を待たせて、気の毒そうな顔もしなかったり、やっとはいってきたかと思うと、一面アルコールにいろどられていたり、すべて不都合だらけである。が、平生どの角度に見ても尋常一式なあの男が、いつのまに女から手紙などをもらってすまし返っているのだろうと考えると、あたりまえすぎるふだんの重吉と、色男として別に通用する特製の重吉との矛盾がすこぶるこっけいに見えた。したがって自分はどっちの感じで重吉に対してよいかわからなかった。けれどもどっちかにきめて、これを根本調として会見しなければならないということに気がついた。自分は食後の茶を飲んで楊枝を使いながら、ここへ重吉が来たらどう取り扱ったものだろうと考えた。
七
そこへ宿から迎えにやった車に乗って、彼はすぐかけつけてきた。彼に対する態度をまだよく定めていない自分には、彼の来かたがむしろ早すぎるくらい、現われようが今度は迅速であった。