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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひぶん

碑文

豊島 与志雄

Lesen Sie 碑文 (ひぶん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.294 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

背丈は五尺に足りない細そりした身体でした。崔之庚は家庭の宴席で酒の興に乗ると、この夫人を椅子に坐らしたまま軽々と持ち上げて、客たちの間を運び廻り、最後に奥の室へ連れて行くのでした。夫人はにこにこ笑っていました。彼女は三十五ほどの年配で、崔之庚とは年齢の差が大きすぎました。彼女がまだ極めて年若な頃、崔之庚は彼女を娶る時、彼女の家から老酒の一甕を貰っただけで、彼女に対して、黄絹七反、柴絹七反、毛皮三枚、五個五色の宝石、それに若干の黄金を贈物にしたということであります。「それが私の全財産の半分でありましたよ。」と崔之庚は酔余の上機嫌でいったことがありました。

崔範は身体が弱く、外出することもあまりなく、いつも香りの高い煎薬をのんでいました。僅かな感動にも頬から血の気が去りました。

初夏の暑い或る日、崔之庚は早くから用達しに出かけていて、崔範と娘の崔冷紅とが午の食卓に向っていました。崔範は朝から気分が悪く、食物にもちょっと箸をつけたきりで、食卓に片肱をつき、掌に頬をもたせて、ぼんやり物思いに沈んでいました。

側には徐和がついていました。四十歳ばかりの逞ましい男で、崔家の一切のことを取締り、多くの男女の召使を指図し、来客のある盛宴には自ら料理の腕も振うという、いわば執事であり召使頭であり料理人でありました。