Japanische Klassiker mit Furigana
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しゃちょうひしょ
社長秘書
佐々木 邦
Lesen Sie 社長秘書 (しゃちょうひしょ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.738 Zeichen · 14 Bildschirme
「それについては面白い話があるよ」
と社長が言い出すと、周囲のものは皆辟易する。しかし相槌を待ち設けて見廻しているから、誰か、
「はゝあ」
と応じてやらなければならない。社長には尻馬居士という綽名がついている。人の話の後から屹度何か思い出して、
「それについては……」
をやる。それが時には甚だそれについていないことがある。日外重役の星野さんが何かの機会で、
「私は申年生れです」
と言ったら、社長は、
「申かね? 猿については我輩も一家の意見を持っている」
「はゝあ」
「四国猿といって、彼奴は我輩の郷里が本場さ。この頃は大分へったようだが、昔は随分いたものだぜ。芸を仕込むには四国猿に限る。南洋でも捕れるが、彼方のは覚えが悪い。猿廻しの連れて来るのは皆我輩と同郷さ。加藤清正に論語を習った猿も四国産だったろう。彼奴を山から捕って来て馴らすには……」
と猿の講釈を始めたことがある。そういう折からは一同仕事の手を休めて傾聴して、然るべきところで笑わなければならない。会社員もナカ/\骨が折れる。尤も猿が加藤清正から論語を習ったなぞと聞けば、何うしたって吹き出さずにはいられない。