Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
その、裾辺まで来た時である、
「む、こいつは可笑しいぞ」小一郎はスッと後へ退き、ジ――ッと藪を隙かして見た。
何んにも変ったことはない。が、小一郎には感ぜられるらしい。小首を傾げたものである。
「どいつかいるな! 刀を按じて!」
迫身ノ刀気ハ盤石ヲ貫ク、心眼察スル者則チ豪――鐘巻流の奥品にある。その刀気を感じたらしい。で、寂然と動かなかった。
不意に小一郎は左手を上げ、鞘ぐるみ大刀を差し出したが、柄へ手をやると二寸ほど抜き、パチンと鍔鳴りの音をさせた。
と、黒々と藪を巡り、一個の人影が現われた。
「さすがは一式小一郎氏、拙者のいるのを察しられたと見える」
「や、貴殿南部氏か!」
「さよう」というと南部集五郎は、二歩ほど前へ進み出たが、「尾行けて参った、深川からな」
「ははあさようか、何んのご用で?」小一郎は油断をしなかった。
「率直に申す! お立ち合いなされ……」
「ほほう」と云ったが小一郎は、一つの考えを胸へ浮かべた。
「さては貴殿におかれても、阪東小篠にけしかけられましたな?」
「では貴殿にも?」と南部集五郎は、いささか興醒めたというように、
「それでは益※(二の字点、1-2-22)恰好というもの、遁がしはせぬ、お立ち合いなされ!」