Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
「さようさ、こいつは遁がれられまい」――だがにわかにクックッと笑った。「それにしても武士道は廃れましたな」
「何故な?」と集五郎はトホンとした。
「元亀天正の昔なら、女を賭けては切り合いませんよ」
「これはいかにも」と南部集五郎も、胸に落ちたか笑い出した。
「アッハハハ御世の有難さで」
「ええと今年は天保十年、文化からかけて文政と、武士ども柔弱になりましたな」悠々とこんなことを云い出した。
「これこれ一式氏一式氏、何を云われる、つまらないことを! 命の取りやり、さあ参るぞ!」次第に急くのは集五郎である。
「心得ておる!」と小一郎は、尚悠々と云いつづけた。「拙者剣侠を志してな、上にも仕えず二十三の部屋住み、そこで長剣を横たえて、千里に旅しようと思っていました。ところがとうとうおっこちましたよ、あの小篠という河原者にな」
「抜け!」と集五郎は威猛高である。「ごまかす気だな、卑怯千万!」
「剣侠も女にはまっては」と小一郎はかまわず云いつづける。
「いやはや一向値打ちござらぬ」
「チェッ」と集五郎は舌打ちをした。「これ臆したな! 一式小一郎!」
「剣より女の方が魅力がある」
「何を馬鹿な! それがどうした」