Japanische Klassiker mit Furigana
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きんしゅのこころ
禁酒の心
Lesen Sie 禁酒の心 (きんしゅのこころ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.572 Zeichen · 8 Bildschirme
私は禁酒をしようと思っている。このごろの酒は、ひどく人間を卑屈にするようである。昔は、これに依って所謂浩然之気を養ったものだそうであるが、今は、ただ精神をあさはかにするばかりである。近来私は酒を憎むこと極度である。いやしくも、なすあるところの人物は、今日此際、断じて酒杯を粉砕すべきである。
日頃酒を好む者、いかにその精神、吝嗇卑小になりつつあるか、一升の配給酒の瓶に十五等分の目盛を附し、毎日、きっちり一目盛ずつ飲み、たまに度を過して二目盛飲んだ時には、すなわち一目盛分の水を埋合せ、瓶を横ざまに抱えて震動を与え、酒と水、両者の化合醗酵を企てるなど、まことに失笑を禁じ得ない。また配給の三合の焼酎に、薬缶一ぱいの番茶を加え、その褐色の液を小さいグラスに注いで飲んで、このウイスキイには茶柱が立っている、愉快だ、などと虚栄の負け惜しみを言って、豪放に笑ってみせるが、傍の女房はニコリともしないので、いっそうみじめな風景になる。また昔は、晩酌の最中にひょっこり遠来の友など見えると、やあ、これはいいところへ来て下さった、ちょうど相手が欲しくてならなかったところだ、何も無いが、まあどうです、一ぱい、というような事になって、とみに活気を呈したものであったが、今は、はなはだ陰気である。