Japanische Klassiker mit Furigana
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きんしゅのこころ
禁酒の心
Lesen Sie 禁酒の心 (きんしゅのこころ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.572 Zeichen · 8 Bildschirme
「どなた?」
ああ、書きながらも嘔吐を催す。人間も、こうなっては、既にだめである。浩然之気もへったくれもあったものでない。「月の夜、雪の朝、花のもとにても、心のどかに物語して盃出したる、よろずの興を添うるものなり。」などと言っている昔の人の典雅な心境をも少しは学んで、反省するように努めなければならぬ。それほどまでに酒を飲みたいものなのか。夕陽をあかあかと浴びて、汗は滝の如く、髭をはやした立派な男たちが、ビヤホオルの前に行儀よく列を作って、そうして時々、そっと伸びあがってビヤホオルの丸い窓から内部を覗いて、首を振って溜息をついている。なかなか順番がまわって来ないものと見える。内部はまた、いもを洗うような混雑だ。肘と肘とをぶっつけ合い、互いに隣りの客を牽制し、負けず劣らず大声を挙げて、おういビイルを早く、おういビエルなどと東北訛りの者もあり、喧々囂々、やっと一ぱいのビイルにありつき、ほとんど無我夢中で飲み畢るや否や、ごめん、とも言わずに、次のお客の色黒く眼の光のただならぬのが自分を椅子から押しのけて割り込んで来るのである。すなわち、呆然として退場しなければならぬ。