Japanische Klassiker mit Furigana
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「ねぎさまみやた」そうさくメモ
「禰宜様宮田」創作メモ
宮本 百合子
Lesen Sie 「禰宜様宮田」創作メモ (「ねぎさまみやた」そうさくメモ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.713 Zeichen · 14 Bildschirme
何もかもすんだ。これから、都会で始められようとする生活に対する憧憬の心やらが、彼女の白粉の上に油ののった顔に一どきに渦巻いた。
三つ折にしたコートの中に手を入れて彼女は、しゃんと体を保って居ようとしたが、四肢の隅々から、ぐんぐんとさしのぼって来る心のゆるみにともなった訳の分らないたよりなさが、いつの間にか、グッタリと、頭を下げさせてしまった。列車がこんで次の部屋の一番隅に頭を見せてよく眠って居る夫の方をややしばらく見て居た彼女は、いきなり口に云われもしない憎らしさ――それは一面に強い愛情をもえたてさせた――を胸一杯にみなぎらせた。白粉のはげないように、小さい手巾をあてながら、自分でどうしたのか分らない涙をこぼした。
彼女は、やたらに今斯うやって自分を遠い東京へつれて行く夫に対して、可愛くてたまらない心と、にくらしい、両手で、ガリガリとかっさいてやりたいような憎嫌を感じて居た。そして頭のとおいところで、ランチョンの中にあるアメチョコの甘さを考えて居た。
二十六日桑野にて、
天気は晴れて、のびかかった麦が、美くしい列になって見える、けれども北風が激しいので、一吹松林をそよがせながら、風が吹いて来ると、向うの山に積った粉雪が運ばれて来て、キラキラと光りながら、彼女の頭に降りかかって来る。