Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

「元成さま。あなたは、何を望んでおいでなのです?」

「伊賀の山田申楽、春日の大和申楽。あのような由緒ある座に入って修行をとげたいと念じましたが、仔細あって、それがかなわぬ身の上なのです」

「どうしてでしょう」

覚一は、盲目の面を傾げて。

「私は、そうではありません。一念したら、何でも届かぬ思いはないと信じているんです。……ですから、母もとうとうあきらめて、共に都へ出てくれました。元成どののお邪げとは、どんな御仔細なのですか」

「申せば、長くなりますが、覚えもない嫌疑をかけられ、行く先々で、六波羅の放免(密偵)に、つき纒われている因果者の夫婦なので」

「そんな仔細なら、ご心配ありませんよ。……六波羅衆の内には、母の縁者で、名だたるお方もおりまする。そういうお方に縋って、ようく明るいお裁きをしていただけば。ね……お母さま」

草心尼も、元成も、さびしげに笑った。――覚一のいう通りには違いない。その単純さが、大人たちには、羨ましかった。

「ですが、覚一どの、今はそれもだめでしょう。都は何か大混乱とのことですから。……いつかまた御縁があって、お目にかかれる折もあればですが」