Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme
一ト冬ぐらいは送ってみたいが、ただいるのはもったいないし退屈でもある。ひとつ、本間殿の御一族の誰かへ、都仕立ての腕の確かな具足師が来ているがと、わしを売り込んでくれまいかの。……もし後註文でも出たら、おやじさんにも、お礼はするぜ」
おやじは、のみこんだ。自分の家に伝わる刀の目利などもしてもらって、すっかり柳斎を信じて疑わない容子なのだ。さっそく、数日後には、
「柳斎さん、うまい口がかかりましたぜ」と、こたえてきた。
「日ごろ、ご懇意をねがっている金丸五郎様におはなししたところ、連れて来いとのおことばです。いかがでしょう。日和もよし、ご一しょに伺ってみませんか」
「それやありがたいな。同道してくれるか」
途々、たずねた。
「その金丸殿とは、ご領主の家臣か、ご一族か」
「島の御守護、本間山城ノ入道殿のおいとこ様でございますよ。やはりこの雑太ノ郷のうちではございますが、入道殿のお住居になっている檀風のお城とは、ちょっと離れておりまする」
「そうかい。ご城内となると、おなじいるにも窮屈だからなあ。願ってもない所だよ」
渡島いらい、彼はまだおくびにも、日野資朝の生死については、この仲のいい旅籠の主にすら訊ねてはみなかった。