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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

「では、お着がえも相なりませぬな。川関にもかからず、地頭の領も経ずに、高野へ参るには、ただ一つ、ここより天野山金剛寺の裏岳を越え、葛城から粉河へ出る細道のみでございますが」

「おう、それを択ぼう。とはいえ、西も東も分らぬここの川洲だが、どう行ったら、捕吏の眼をのがれえようか」

「ご安心な地へ出るまで、てまえが、ご案内いたしましょうが、そのお姿では」

と、男は鮎小屋の内を覗き、破れ笠や、腰蓑などを持ち出して来て。

「これで、一時、お身をお包みなされませ」

「……が、そちはその間、病の妻と赤子をどうしておくか」

「お案じ下さいますな。乳児もよう寝ついておりますし、家内へもただ今、仔細を申し聞かせてまいりますから」

男は、自分の舟へもどって、すぐまた、苫の下から上がって来た。

洲は、島になっているが、男は浅瀬を先に立って渡って行き、さらに、道もない芦川原をかきわけて、ほどなく一つの散所部落の岸へ上がった。

もう深夜だが、一切、口もきかずに三人はただ歩いた。

男は部落の裏を巧みに縫って、やがて一本の街道を早足で横切ると、あとはいちめんな野路だった。それも尽きて、野末の山を見ると、