Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme
――すでに鎌倉でも予想されていたことである。ただちに軍勢を発し、その大軍はいま、海道を上って来る途中にあろうとの噂なのだった。
「――阿新さま。仁和寺のお家の門まで、お送り申そうと思いましたが、この騒乱では、柳斎もまごまごしてはいられません。いずれ後日また、お訪ねしましょう。……久米内どの、さあ、大変なことになりそうだぜ。くれぐれもお大事に」
鞍馬の峰道へかかると、右馬介は急に、こう二人へ別れを告げた。
「おじさん!」
阿新は、去り行く彼へ、名残りを惜しんで何度も呼んだ。
右馬介も振り返った。
今はほかへ心も急がれるが、彼は、この稀代な一少年を、忘れえない。亡き日野資朝の形見としても、このまま離せるものではないと思った。
「和子様、また会いましょうね。どんな日がやッて来ても、佐渡にいるつもりで、元気にお暮しなさいよ。負けずにね」
彼はそのまま、峰から峰づたいに、丹波篠村の足利家の領家へと、雲を踏んで急いだのだった。