Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme
――だから今もって、都には、祖縁につながる家柄が少なくない。
平ノ成輔、単に「烏丸どの」ともよばれる中宮亮成輔も、平家系の縁すじだった。
その烏丸家へ、元成が、公卿小姓に入ったのは、地方武士の子が“しつけ習び”と称して、家督をつぐまで、都の権門に住みこむ当時の風習に従ったものだが、彼は格別、成輔に愛されて、
「もすこしいよ、もすこし」
と、いつか十年余り仕えてしまった。
また、元成自身も、伊賀の養家を、とうに忘れかけていた。
恋が芽生えていたのである。
後宇多院の後宮、西華門院基子の侍女の卯木とであった。
あるじの成輔の使いで、再々、垣間見あっていた相思のふたりは、やがて、北山殿の花の御遊の折、花の下で結ばれた。
春秋の北山の御遊には、いつも、行幸輦は、ふた夜も、三夜もとどめられるので、相互の陪従のお主に供する二人も、その間じゅうは、花の闇で、忍び会いもし、または昼は昼で、花ふぶきの宴の莚や、舞楽見物のどよめきの中やらで、思うざま、恋を味わうことができた。
また、正中元年の、石清水行幸にも、元成は、曠れの車副いに立ち、派手ずきな主の好みで、他の侍八人と共に、銀延べ地に鶴ノ丸を黄に染めだした揃いの小袖に、下の透けてみえる水干を着て、人目をひいた。