Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme
それに、水喧嘩のお裁きやら、枯れ田の百姓衆を励まされるやら、折には、夜に入ってのお帰りもめずらしくはございませぬ」
「や、それは困った」
正季は、ここの涼やかな書院に、汗をわすれて落着くでもなく、はたと当惑顔になる。
あいての人は、嫂だった。正成の妻、久子である。
久子は、唇もとの微笑で。
「正季さま。何をそのように、お急ぎなのでございます」
「明日の雨乞いは、時が早い。ここ数日、天候を観て、雨気の到るを待ってすべし、と加賀田の時親先生からのお使いなのです。しごく道理。さっそく、兄上の御同意をえて、延期したいと思うのですが」
「それなら、たとえ晩くとも、お帰りのないわけではなし、そう御心配なさらないでも」
「したが、雨乞い祭りには、近郷の男女が、あまた詣でまする。わけて山田申楽の奉仕を見ばやと、待ちかまえてもおりましょうず。一刻も早く里々へ、触れを出さねば相なりません」
まるで、久子のせいみたいに、正季はがみがみいった。それがしばしば、久子の唇もとに見えないほどな微笑を催させるものらしい。竹を割ッたようなこの義弟の性情をよくのみこんでいるからだった。
「あちこち、下部の者を、走らせて見にやりましょう。