Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
輿に付いて来た家来たちも口をそろえていうのである。まかせるしかない。兼好は背をかがめて輿へ入った。ぷうんと蘭麝の薫りがする。
と、そのとき外の者が笑った。なにか他愛なく輿の周りで噪ぎ合う風だった。兼好はそれに思い出して、ふところや袂をさぐった。雀がいない。
雀は輿を恐がッて、兼好が内へ身を入れかけたとき、輿の屋根に残っていた。それを見て、輿丁の者が捕まえかけると、ピラと逃げ、輿を上げかけると、また輿の上へ来て止まる。奇妙な雀もあるものと、武者や輿丁もつい面白がったものらしい。
そこで、兼好は、
「チッ、チッ」
と、唇を鳴らした。そして輿の横へ掌を出して見せると、雀はすぐ掌のうえに降りてきた。兼好は淡紅色のきゃしゃな彼の足を折らないようにそっと持って、すこし怯えているらしい眸とその柔かい腹毛に頬ズリを与えた。
「しんぱいするなよ。どこへ行ってもわしがいるよ。いやおまえがいいお手本だ。おまえに習ってさえいれば、この世間どこにいても心配はないはずだっけな」
婆娑羅大将
むかしは誰の邸宅か。
いずれはここも、洛内進駐軍の一大将の宿所と変っているのだろうが、馬糞だらけにしておくには無残なほど、築土のさまや庭園などもすばらしい。