Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
その木曾義仲ほどではなくても、いま、関東方の将士にしてみれば、その野性と飢えたる目に、この混乱の都は、禁断の木の実や花が、採るにまかせてあるように香っていて堪るまい。
「そうだ、昔も今も。……おそらくはこれらの女も」
木曾殿時代の夜をおもい合せて、兼好がふと、そばの女たちの色の沈みを、あわれと見ていると、道誉はその眼を邪げるように、からかった。
「法師。どれがお気に入ったかな。志賀寺の上人でさえ、迷えば迷う。すね法師だって、おかしくはない」
「いや、恋には懲りました。もう燃え殻のままでいたい。二度とは燃えたくありません」
「うそだ。四十そこそこで」
「いや、まったくです」
「では、試そうか」
兼好は本気に恐れた。
「女。そいつは平にご遠慮する。なによりも拙僧のニガ手です」
道誉は面白がって、
「いや、こん夜こそ、御僧に女を抱かせてみせる。いやとはいわせぬ」
と、よけい執こい。女たちを、わざとケシかけて、
「その法師をものにしたら、ほうびをつかわすぞ。もっと酌してやれ。そばへ寄って纏うてやれ」
と、いよいよ天ノ邪鬼をあらわし始めた。ことばだけでなく「意地にでも……」