Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
と、君臣は、なにか美しい光輪の虹でも見まもるように、しばしその夕は、一穂の灯に見恍れ合った。
夜の御食にはまた、あたたかな椀の物が加えられ、やがて御寝の具も新たなのが調進された。
獄はいぜん獄だが、扱いすべて、昨日とはちがって来た。俄な変り方である。
だが北条氏のことだ。そう安心させておいて、いつ刺客の兇刃をここへ見舞わせぬかぎりもない。……何か早やこれは、密かにそう方針を決めた幕府の無言な予告ではなかろうか。
「行房、忠顕」
帝はそれを、夢寐にまで猜疑しておられるらしい。
「……のう、急に六波羅の異な持てなしよの。油断はなるまい」
「いえ、数日前から、ご給仕の牢司が代りました。あるいは、それゆえかもしれませぬ」
「新たな役人とは、どんな男か」
「近江の守護佐々木と申す武者にござりまする」
「一守護の権限などで、扱いをままにできるはずはない。それも不審。いちどその男を、儂の前に連れまいれ」
「が、佐々木ずれの武者に、直々の御見は、如何なもので」
「かまわぬ」
「御簾とてない御座へですか」
「殿上とはちがう。こんど見えたら、その道誉とやらを見てやろう。内へとおせ」
二人は、仰せに驚いた。