Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme

Aozora Bunko

「いちど佐女牛の邸へも遊びに来て欲しいな」

「いや貴公は、それどころではあるまいに」

「なぜ」

「隠岐遷しの警衛に赴くとあっては容易でない。何かの準備もたいへんだろう」

「なあに、まだ十日以上のいとまはある。それはそれとし、いちどゆっくり飲もうではないか。こんな時勢に会して、まこと、話し相手とおもうているのは、足利又太郎お一人だ。いや世辞ではない、ほんとのところ」

そのとき、高氏の後ろへ来て、何か小声に告げている者があった。

北ノ探題仲時の側役で「――仲時どのが、庁の茶座敷でお待ち申しあげておりますゆえ、後刻でも、ちょっとお寄りを」との伝言だった。

庁の茶座敷は、いわば探題専用の休憩所だった。

仲時は、忙しい寸暇を、そこに待って、

「高氏どの。つい折もなかったが、今日はちょっとお耳にだけ入れておきたい」

と、彼へも一盞の茶をすすめた。

もちろんここでの話は公務ではない。個人的な閑談のくつろぎにとどまっている。が、仲時の話に高氏はとむねをつかれて、

「……では先ごろ、小松谷のおやしきを頼って行った母子の者が、そのままご邸内で、お世話になっているというのですか」