Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
「でも、なんの御縁もなくては、あの藤夜叉も」
「まだ御辺には、お聞きおよびでなかったかの?」
「なにをです」
「それ以前、去年の秋頃から、仲時のやしきには、かの草心尼と覚一と申すふたりが、身を寄せていたことを」
「おお。いつか右馬介から、それはちらと耳にしましたが」
「ならば、ご合点はつくはず。さきに草心尼の母子も、鎌倉から都へのぼる途中で、藤夜叉には、なにか危難を助けられたことがあったそうな。そのうえ三河の一色郷にも、幾十日かを共に過ごしたことなどもあるよしだ」
「ははあ。それが縁で?」
「草心尼も子を持つ親、藤夜叉も子持ち。おたがいに似たような薄命を喞ちあって、その後もたいそう仲よく、常々、文のやりとりなどしていたらしい。……いや、それはともかく」
と、仲時は親身になって。
「高氏どの、いちどその和子へも母へも、父親として、会って上げるお心はあるまいか。もしよろしいなら、折を見て、小松谷の亭にお越しいただき、一同お顔を揃えて上げたいと思うのだが」
正直、いまの高氏には、子のことなどは、嫌悪と当惑以外のなにものでもない。この若い父親の胸は、べつな方向でいっぱいなのだ。