Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
東大寺大衆の底流にも、宮方と関東方があったし、興福寺の反応など、わけて、はっきりしないものがあった。
「これはいけない」
聖尋は早くも万一を案じて、供奉の面々に、一ノ宮尊良をもいれて、諮った。
「人の心は怪しいものと、この聖尋も、いま知りました。――つい前年の三月、ここに天皇の行幸を仰いだ日は、東大興福の二大寺を挙げ、盛儀三日三夜のご歓待は申すもおろか、鹵簿の還幸には、全山お名残りを惜しんで、聖武の帝の古えもかくやと、みな申し囃したものでしたが……今、やつれ輿にて、ここへ御避難あらせ給うと聞くや、みな手のうらを返したような横向き顔。……何ともはや……」
長嘆して、彼は、人々へ二段の策を、切にすすめた。
しかも、その対策を、なおよく、御前で練っている暇などもなかったらしい。
そこで、当夜、二十六日の夜半――「古典太平記」を始め、諸書はみな、二十六日としているから、それに従えば――都を二十四日に脱出された天皇には、途上の難行のうえ、着御のあとも、ほとんど、席のあたたまる暇はなかったことになる。――また以て、いかに顕実一派や、興福寺などが、このたびの天皇の蒙塵を、白眼視していたかが分ろう。