Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
み気色ばかりにてまゐらず
とあるを見れば、帝も妃も、さすが、お箸も取られなかったようである。まこと、そぞろなお小休みに過ぎなかったものだろう。
ところで、道誉はその間に、
「大弥太、顔をかせ」
と、黄母衣組の一人田子大弥太を人なき所へ招き入れ、何事かを、細々と密命していた。
道誉はなお一通の書を、田子大弥太にさずけた。そして、
「ここは措いて、早く行け」
と促しながら、つけ加えた。
「道は舟路がいいぞ。海上ならまたたく間だろう。書中にもくわしく認めおいたが、そちの口からも、源太左衛門へじかに、恩賞いかようにも計らわんと、よく利を以て説きつけろ」
「心得ました。では」
大弥太はすぐ立った。彼が、ふところにした書面の名宛には、
加治源太左衛門安綱どの
と、読めた。
はやくも途上の第一日に、道誉が備前の加治安綱へ、一使を送っていたなどとは誰も知らない。
また、鳥羽の旧離宮の内外、いまやその混雑さも、それどころでなかった。
「おう。捜していた、道誉どの、ちょっと代ってくれまいか。どうにも、ご逆鱗がはじまると、先帝のおなだめ役は、ご辺にかぎる」
小山秀朝と千葉ノ介だった。