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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme

Aozora Bunko

「……ここぞ、内侍所らしい」と、さし覗けば、神器もすでに持ち出されてあり、ほの暗い細殿に、ただ残燈の影がかそけく、またたいているだけだった。

――やがて、陽がのぼる頃、彼らはつむじのように引き揚げて行った。危なかったことである。あとでの取り沙汰では、皇后の禧子は、野の宮殿のお妹のところへ難を避け、三位ノ局廉子も、小女房の中にまぎれて、はや、ここはのがれ出ていた。そのほか、水仕や女童の多くも、ちりぢり泣く泣く、各※(二の字点、1-2-22)の親もとや有縁をたよって、逃げのびていたものとみえる。

また、同朝。

洛中各所にも、襲撃がおこなわれていた。――かねて天皇帷幄の秘臣とにらまれていた大納言宣房、洞院ノ実世、侍従の中納言公明、烏丸ノ成輔など、みなその自邸で寝込みをおそわれ、一網打尽に、捕縛された。

「えっ、天皇の御脱出とな?」

聞かされて、彼らはみな仰天した。この人々にさえ、寝耳に水であったとすれば、六波羅が事を未然に覚りえなかったのもむりではなかった。

六波羅武者の合い言葉は、いまや公然と、

「宮方征伐」

であり、また、畏れもなく、

「――後醍醐退治」