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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme

Aozora Bunko

そのため、上洛軍の兵員や将の選考も着々進められている由、その奇襲に驚くことなきよう、機先を制して、対処の策を――とも、忠円の書は告げていた。

「すわ」

と、お胸も騒いだにちがいない。

しかし、豪胆きわまる天性でおわしたのだ。御父の後醍醐に似て、後醍醐以上なところがある。しばしは机に頬杖のまま、満山の秋に対しておられた。

大塔ノ宮二品尊雲と並んで、山門にはもう一ト方、べつな皇子がいた。

尊澄法親王である。

皇子名は、宗良。

大塔ノ宮よりは、三ツ下の二十一歳で、前年、兄宮が退いたあとをうけて、妙法院から入山され、現在の天台座主として本院にいる。

もとより、皇子二人までを、山門の上におかれた父皇後醍醐のむねは、問うまでもないことだった。この弟宮も、しごく閑な性ではあったが、父皇の遠謀によるおいいつけと、また兄宮大塔の下にもよくその命に従って、

「墨のころもは、仮の衣」

と、ご観念のていだった。

で、武技や兵学の励みも、兄宮に負けずおさおさ怠りない。しかし一面、この弟宮の優雅な天性は、なお自己の本心まではあざむき切れぬようで、

「……あわれ、やがて世もしずまらば、仮の姿は捨て、墨染の本身に帰り、まことの一沙弥になり申さん。