Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme

Aozora Bunko

「中院のお師匠さまが、当分、御用が多いンですって」

「龍覚坊さまが、そう仰っしゃったのか」

「え。中院でも観心寺でも、わいわいお坊さんたちが騒いでましたよ。戦争になったんですッて。……ほんと、お父さま」

「ほんとだ」

「じゃあ、お父さまも合戦に行くんでしょ」

「行かない」

「なぜ」

「おまえらが、可愛いから」

「でも、うちは侍でしょ。侍たちのお父さまは大将でしょ」

「だから行きとうない。たくさんな人間を死なすからな」

「だッて、仕方がないや。多聞もあしたからは、中院のお師匠さまへ通うのを止めて、加賀田の時親先生のとこへ行ってはいけないでしょうか」

「加賀田の隠者の許へ、なにを習いに」

「兵学です。多聞丸もそろそろ兵学を習わなければいけないぞと、いわれました」

「たれが、すすめたか」

「龍泉の叔父上が」

「正季がか。……はははは」

正成は、子の背をなでた。

「まだ早い。急ぐことはない。それよりも、龍覚御坊について、学問に精を出せ」

「でも、戦になると、その学問もできなくなるし」

「そしたら、自分でやれ」

「叔父上がいいましたよ」

「なんと」

「お父さまだって、小さいときから、十年の余も、毎日毎日兵学を習いに、雨風の日もなく加賀田へ通ったのだ、だから多聞よ、おまえもやれって」