Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
わがつま。せめては、わたくしと子たちのことだけでも、おむねの外においてくださいませ」
「それ聞いて安心した。一つの重荷は、そなたに頼もう、身を愛しんでくれい。これからはそれが女の役……」
とつぜん、門外にあたって、馬のいななき、蹄の音など、なにか殺気立ったあらしの先駆に似たものが、ぶつかって来た。
「はて。刑部が正季を連れて来たにしては早すぎるが」
正成自身、すぐ大玄関へ駈け出てみた。土塀ごしに、赤々と松明のいぶりが無数の墨を吹いている。そして、その群れから門内へ、
「おっ、殿」
駈け込んで来たのは、やはり刑部と恩智左近であって、
「はしなく、途中の三昧谷で、行き会うたのでおざりました。――こなたへ降って来る御舎弟と、若者輩に」
とのことだった。
聞けば、加賀田の山荘でも勅使の下向はすぐ知ったものらしい。それにたいして、正成がどう答え奉るかに、正季以下は、重大な関心をもった。
「拝辞するかもしれぬ」
「いや、いかに正成殿でも、勅とあっては」
「どっちにせよ、われらは勅をまつまでもなく、笠置へ参ずる者。明日は立とう」
「いやいや。どうせのことなら、水分へ行け。そして腰ぬけ殿の御返答を確かめろ」