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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme

Aozora Bunko

「おことば、一生の賜物と、死に栄えを感じまする。御意を胸に持ち、笑って討死も……」

「ときに……」と、高時はふと、語気をかえた。

「登子はどうしておるな?」

「はっ、その妹は」

守時は、さしうつむいて。

「子の千寿王が、大蔵のお固めを破って脱走したのも知らず、良人高氏の反逆いらい、この守時の実家で、尼同様な仏間籠りの日々を送っておりましたが、ついに今暁……」

「今暁、どうかしたのか」

「仏間にて、わが手でのどを突き、相果てておりました。……宗家御一統や、またこの兄へ、深くわびた遺書一通を、経机の上にのこしまして」

「やれ……。ふびんであったな。あんな明るい、よいむすめであったのに」

高時の一語には、嘘でない愛しみがこもっていた。いまだに高時は、高氏と初めて会ったときの印象や、酒の上で、彼に投げられたことなども忘れていず、まして高氏が離反してからは、一ト通りでない憎しみも持っていたが、妻の登子へは、血につながる一族のせいもあろうが、いたって寛大であったのだった。

しかし、周囲は決してそうばかりではない。

ご寛大も度がすぎる!

となし、千寿王の失踪などは、母として登子も未然に知っていたにちがいなく、赤橋殿もまた、知りつつ見のがしていた同穴の狢か? とさえ極言する輩もないではなかった。