Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
仲時は、床几を立った。次いで、
「将監どの。ちょっと見てまいる、時も時だ、何を訴えたいと申しおるのか」
と、一方の床几を振向いたが、時益はなんの興味もないらしい。ただうなずいてだけ見せた。
だが仲時には今、ワラをもつかみたい気もちがある。偽者にせよ本物にせよ、とにかく、聞くだけはその言を聞いてみよう。と、鬼六を先に樗門の内へ大股に入って行った。
そこの大きな一棟は、獄屋作りになっている。
かつての日には、後醍醐と三人の妃が、押しこめられていた獄舎の一部だ。――そこにいまは、かの忍ノ大蔵にあざむかれた吐雲斎の毛利時親が、茶いろの眸を、らんと研いで、太い獄格子に、つかまっていた。
「おうっ、やっと来たか。……若い方だな。すると、北の探題か」
なるほど、白髪もばさと、声には鬼気があって、寄りつき難い。
仲時はすぐ悔いた。
が、狂人へするような、あのあいまいな温顔に似た顔を作って。
「されば、身は北の北条仲時だが、なんぞ、このほうに?」
「おうさ」と、吐雲斎は相手のことばも奪いとって「なぜ、もそッと早く、これへ見えなかったか。ばかな大将だ、おなじやって来るものなら」