Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
内々のご評議やら、またこれを父のお立場から、准后の阿野廉子にもおはかりになった結果か。――再度、坊門ノ清忠が信貴山の宮に謁して、
「何はあれ、こうしておいで遊ばしては、世間沙汰もおもしろからず、ふたたび人心が揺れ出しては一大事です」
と、切になだめ、
「高氏のことは、仰せなくとも、主上にも内々はおふくみのことでもありますれば……」
と、具体的な案をも出して、さまざま、宮の言い条を解きにかかった。――すなわち、大塔ノ宮の僧門復帰は、これを取消し、そして宮がひそかに望んでいた兵馬の権――征夷大将軍の職――に任じようというのであった。
「ならば」
と、宮もやっと、その条件の下に、
「これ以上、父の皇のお立場を、お困らせしても悪しかろうで」
と、洛内入りに同意をみせた。
ご気性、爽やかなところもある。交渉が成り、それでお胸も溶けると、宮はからからと打笑うのであった。
――戦乱二年、吉野の奥から高野、十津川と、山野に臥して、郷士竹原六郎の娘を妃とし、野武士や山伏の徒とも、膝ぐみになって、秘策をかたらい、自身陣頭にも立ってきた宮である。――もうまったく宮廷人の風ではない。