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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme

Aozora Bunko

しかもおれどものは体を張ってのご奉公だぞ。酒の売掛けが取れなくても命に別条はあるまいが、こっちは、まかりまちがえば命が飛ぶんだ。……ふざけやがって。……どうして楮幣がいけねえんだ?」

これは道理である。「――どうして楮幣がいけねえんだ?」と問いつめる彼ら私兵の言い分は間違っていない。

けれど一方、酒屋のおやじが、従来見たこともない一片の紙キレなどを、銭として受けとれない、と頑張ッたのも、これまたもっとも至極であった。

まして今のような世に、刀も帯びず、権力にも守られず、ただ頼むものは金でしかないと、銭に生き、銭と苦楽を一つにしているしがない一個の市人とすれば、私兵の兵舎でゴロゴロしている彼ら以上にも真剣に言い争ッたのはむりではない。

するとこの騒ぎの折へ、殿ノ法印の家臣が駈けて来て。

「何事だ、しずまれ。法印殿がおひろいで見えられるぞ」

「え、お見廻りで」

私兵たちは、俄に、その慌てぶりを思い思いにして、附近の侍長屋や兵舎の方へ、拇指を示しながら、

「おうい。来るぞ」

と、知らせ合っていた。

博奕仲間もゴロ寝の組も、みな飛び出して、厩の世話だの武器庫の方へ歩いて行く。