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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme

Aozora Bunko

「やい、つらを上げい」

「はっ」

「きさまか、訴人は」

「さようにござりまする」

「どこの者だ」

「代々近江伊吹に住みおります」

「伊吹。……伊吹といえば佐々木道誉の領下であったな」

「は。その道誉の家臣、民谷玄蕃にござりまするが、主人道誉の仰せもあって、かねがね、六波羅と鎌倉との使者往来に注意しておりましたところ、はからず極秘の一札を手に入れましたので」

「それを持って出てきたわけか」

「御意」

「ならばなぜ、主人道誉へ見せに行かず、これへじかに訴え出たのか」

道誉の国元の家臣だと名のるその民谷玄蕃は、

「あ、いや」

と、宮の早呑みこみに慌てて、すぐ言い直した。

「もとより主人道誉へも、それは一見に入れてあります。そこで殿の申されるには、こはこれ、容易ならぬ六波羅の秘牒だ、すぐ宮の候人殿ノ法印どのまで、そのほう直接、訴人となって、先にお届けに及べ、との仰せつけにござりましたようなわけで」

「分らんふしがあるな」

と、宮は小首をかしげて。

「それくらいなら、なぜ、道誉自身でこれへまいらんのだろう?」

「いえ、お召とあれば」

「よべばいつでも参るというのか」

「はっ。義理がたい殿ゆえ、千種どのをさしおいてはというご遠慮があり、さりとて、大事は火急、遠廻しな手順はとっておられぬと」