Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
以上が――公重の密告の全貌であるが、なお、公重の口うらには、もっとさしせまった目前の何かがいわれつくしていない風だった。
忠顕は待ちきれず、そこを突いて。
「いやよくわかった。またよくお報せ給わった。……が、その都の変を合図とは、いったい何をさすものか」
「明日の事でございまする」
「あすの事?」
「まだ、ご存じありませぬか」
「はての」
「みかどの行幸を」
「いずこへ」
「明六月二十二日、衣笠なる北山殿へ、蛍狩りの御遊と、つとに御内定をみております。もとよりこれは、西園寺家から特に臨幸を仰いだもので」
「そして」
「その日にそなえ、西園寺家では、ひそかに数多な番匠を入れ、数日前からお湯殿普請などいそがせておりまする」
「はて、何でお湯殿を?」
「思いますに、上がり場の板を、踏めば落ちるような造作にしておき、主上臨幸のせつ、陥れたてまつらんとの、恐ろしい企みではないかと私には見られまする」
忠顕は仰天した。が、なおも念を入れて。
「ともあれ、公重どの。以上はご責任を以ての上告としてよろしかろうな」
「もちろんです。自分も西園寺一門の端、ぜひものう、北山殿のご密議には加わりました。