Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
「奉行所ができた」
と知っただけでも、一般には暗夜の灯ともよろこばれた。また事実、これが焦土の洛内に初めての、政治らしきものの芽生えであった。
こうした洛内へ、やがて伊吹の太平護国寺からは、光厳帝をはじめ、後伏見、花園たちの囚われ輿が、佐々木家の手で送り返されてきた。
それら持明院統の方々の処置は、それを千種忠顕のふんべつにまかせ、高氏は、庶民のいとなみを見はじめると、軍令を出して、市中における将士やあぶれどもの横行を取締り、その悪にたいしては、
「用捨なく、厳罰でのぞめ」
と直義にいいつけた。
直義には適任だった。彼は、洛内四十八ヵ所の篝屋を復活させ、強盗、追剥ぎ、ゆすり、残党など、片っぱしから処刑に付していたが、そのうちに意外な或る大物をも逮捕した。
事のわけはこうである。
ある小雨の晩。
今出川御門そとの篝屋(町方警士の詰所)へ、髪ふりみだした女が急を訴えに駈けこんできた。
酢屋某の妻女であった。
それいぜんから、たれいうとなく、酢屋の二つの土蔵には、六波羅落ちをした公卿衆から預かった財宝が匿されているといわれていた。それを狙われたものだろう。