Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちちぶのみやでんかにじしてやりがたけへ
秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ
木暮 理太郎
Lesen Sie 秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ (ちちぶのみやでんかにじしてやりがたけへ) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.876 Zeichen · 20 Bildschirme
宮城の有明神社に御着きになったのは九時半頃であった。祐明門や拝殿などの構造が精巧であるところから、俗に信濃日光の称がある。時間はまだ早いけれども、此処で御中食をなさる御予定であったので、社務所では特に舞殿を装飾して、御休息所に充る積りであったらしい。されど殿下は神社に御参拝になると、いと御気軽に祐明門の傍にある老媼の茶店に御立寄になって、お伴の者に店にあったサイダーを下され、御携帯のお弁当をお開きになった。茶店とはいえ、唯だ木蔭に四つ五つの縁台を並べ、それへ薄縁を敷き、其上に坐布団を置いた至って粗末な露店である。古風な竈に茶釜を懸けて湯を沸かしていたお婆さんは、一時に押寄せた大勢の客に、転手古舞を演じていたのも無理はない。
此処から道は信濃富士の称ある有明山の南側を廻って、中房川に沿いながら次第に深く山懐に這入って行くのである。約三里の行程も、時には昼も暗い程に繁った森林を穿ち、或は脚下十丈の底に中房川の奔湍激流を瞰、又は徂徠する雲の間から有明山の突兀たる姿を仰ぎなどして、鶯や時鳥の鳴く音に耳を傾けながら、三度目に中房川の釣橋を渡ると、間もなく中房温泉に達する。