Japanische Klassiker mit Furigana
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あな
穴
黒島 伝治
Lesen Sie 穴 (あな) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.328 Zeichen · 23 Bildschirme
皺も一時に、故意につけられたものだ。
郵便局では、隣にある電信隊の兵タイが、すぐやってきて、札を透かしたり指でパチ/\はじいたりした。珍しそうにそれを眺め入った。
「うまくやる奴もあるもんだね。よくこんなに細かいところまで似せられたもんだ。」
「すかしが一寸、はっきりしていないだろう。」貯金掛の字のうまい局員が云った。
「さあ。」
「それは紙の出どころが違うんだ。札の紙は、王子製紙でこしらえるんだが、これはどうも、その出が違うようだ。」
「一寸見ると、殆んど違わないね。」電信隊の兵タイは、蟇口から自分の札を出して、比較してみた。「違わないね。……実際、Five なんか一分も違わず刷れとるじゃないか。」
「どれ/\。」
局へ内地の新聞を読みに来ている、二三人の居留民が、好奇心に眼を光らせて受付の方へやって来た。
三十歳をすぎている小使は、過去に暗い経歴を持っている、そのために内地にはいられなくて、前科者の集る西伯利亜へやって来たような男だった。彼の表情にも、ものごしにも、暗い、何か純粋でないものが自ら現れていた。彼は、それを自覚していた。こういう場合、嫌疑が、すぐ自分にかゝって来ることを彼は即座に、ピリッと感じた。