Japanische Klassiker mit Furigana
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あな
穴
黒島 伝治
Lesen Sie 穴 (あな) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.328 Zeichen · 23 Bildschirme
「おかしなことになったぞ。」彼は云った。「この札は、栗島という一等看護卒が出したやつなんだ。俺れゃちゃんと覚えとる。五円札を出したんは、あいつだけなんだから、あいつがきっと何かやったんだな。」
彼は、自然さをよそおいつゝ人の耳によく刻みこまれるように、わざと大きな声を出した。
「栗島が出した札かい?」局員はきゝかえした。その声に疑問のひゞきがあった。
「あゝ、そうだ。」
「たしかだね?」
「うむ、そうだ。そうに違いない。」
眼鏡を掛けた、眼つきの悪い局長が、奥の部屋から出て来た。局長は疑ぐるように、うわ眼を使って、小使をじろりと見た。
「誰れが出した札だって?」
局長は、小使から局員の方へそのうわ眼を移しながら云った。
小使は、局長の光っている眼つきが、なお自分に嫌疑をかけているのを見た。彼は、反抗的な、むずかしい気持になった。彼は、局長の言葉が耳に入らなかった振りをして、そこに集っている者達に栗島という看護卒が平生からはっきりしない点があることを高い声で話した。間もなく通りから、騒ぎを聞きつけて人々がどや/\這入って来た。
郵便局の騒ぎはすぐ病院へ伝わった。