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Japanische Klassiker mit Furigana

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あさまさんろく

空にむかひて 若杉鳥子随筆集

若杉 鳥子

Lesen Sie 空にむかひて 若杉鳥子随筆集 (あさまさんろく) von 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.542 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

「けっけっけ!」と笑った。

私はそんなに悦んで貰った事がない。私はそれだけで今日の訪問にすっかり満足を感じた。

どんな御馳走よりも賛辞よりも、その子供の、「けっけっけ!」という笑い声の純真さに打たれた。

絲子さんという姉さんの方の子が学校から帰ってくる。姉妹で折紙の奪い合いを始める。

奥さんも帰って来られた。私は初対面だった。質実な素朴な、心の細やかそうな、そして勝ち気らしい印象を受けた。

師は昔を懐かしそうにぽつりぽつりと話し出される。今は詩人としてよりも地主として接していられる当面の問題について色々話して下さる。私は時計を気にしいしい時間を過ごした。日の暮れない中に故郷へ帰ろうと思うからだった。

「少し早く家を出て大宝の八幡様を見ていらっしゃい。」

と師はすすめてくれた。それはこの地方で有名な神社だからだった。

奥さんが百合ちゃんをおんぶして私を送って下さる。東京の話、文壇人の噂等をしながら、私設鉄道の大宝駅まで歩く。

水田を渡ってくる風は寒かったが、なだらかな青葉の林に囲繞された淋しい大宝の小駅、私はある満足を持ってそこを発った。