Japanische Klassiker mit Furigana
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とっかんきこう
突貫紀行
幸田 露伴
Lesen Sie 突貫紀行 (とっかんきこう) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.819 Zeichen · 16 Bildschirme
かくてすすむほどに山路に入りこみて、鬱蒼たる樹、潺湲たる水のほか人にもあわず、しばらく道に坐して人の来るを待ち、一ノ戸まで何ほどあるやと問うに、十五里ばかりと答う。駭然として夢か覚か狐子に騙せらるるなからむやと思えども、なお勇気を奮いてすすむに、答えし男急に呼びとめて、いずかたへ行くやと云う。不思議に思いて、一の戸に行くなりと生いらえするに、彼笑って、ああおのし、まようて損したり、福岡の橋を渡らねばならずと云う。余ここにおいていよいよ落胆せり。されどそのままあるべきにもあらず、日も高ければいそぎて行くに、二時ばかりにして一の戸駅と云える標杭にあいぬ。またまたあやしむこと限りなし。ふたたび貝石うる家の前に出で、価を問うにいと高ければ、いまいましさのあまり、この蛤一升天保くらいならば一石も買うべけれと云えば、亭主それは食わむとにやと問う。元よりなりと答う。煮るかと云うに、いや生こそ殊にうましなぞと口より出まかせに饒舌りちらせば、亭主、さらば一升まいらせむ、食いたまえと云う。その面つきいと真面目なれば逃げんとしたれども、ふと思い付きて、まず殻をとりてたまわれと答えける。