Japanische Klassiker mit Furigana
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まどにさすかげ
窓にさす影
豊島 与志雄
Lesen Sie 窓にさす影 (まどにさすかげ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.068 Zeichen · 26 Bildschirme
衣紋竹の着物が窓硝子に映るわけでもなかったが、用心しなければいけないという気持ちだった。
祖母が亡くなってからは、そういう気持ちが一層嵩じた。
祖母の死から、私は心身に直接の打撃を受けた。嘗て姉が病死したことがあるが、まだ私は幼く、大して深い感銘は受けなかった。祖母の死に接しては、身にも心にも、大きな穴があいた感じだった。
身内にあいたその穴の方へ、私の思いは引きずり込まれがちだった。そしてぼんやりした空虚な時間がまま起った。そのような時、室の窓硝子に何かの影が現われ、すぐ消えはしたが、はっと私を驚かした。
他人は気付かなかったかも知れないが、いけないことが幾つもあった。
葬儀の前、祭壇は美しく飾られ、上方に祖母の写真が立てかけてあった。その引き伸しの大きな写真が、どうしたことか、前に倒れて、表面の硝子にひびがはいった。この方が、硝子が光らず、写真がよく見えて、却っていい、と兄は言って、硝子を取り除けてしまった。私は嫌な気がした。
祭壇が出来る前、家の三毛猫が、室にのっそりはいって来た。N叔父さんが、眼を怒らして叱り、猫を追い出して、死人の室に猫を入れてはだめだ、と言った。