Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくはくき

竹柏記

山本 周五郎

Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme

Aozora Bunko

――あれはなんだ。

こう云いたそうな眼で、この一行を横眼で眺めていたが、利秀が鞭をあげたとたん、なにを誤解したものか、ひどく憤慨したようすで、いきなり悲鳴をあげながら、利秀の馬にとびつき、その後脚を噛んだ。……馬は吃驚したものだろう、大きな声をあげ、跳ねあがり、そして狂気のように疾走し始めた。露払いがあっと云った、みんなもあっと云った。

「止めろ、この馬を止めろ」

殿さまのそう叫ぶのが聞えた。

孝之助は前にいる五人を追いぬき、殆んど夢中でびしびしと鞭を当てた。なにしろ、江戸邸内にある馬場、塵もなく掃き清め、虫一疋もいない平らな馬場で習った馬術である、此処は石のごろごろした、穴ぼこだらけの道だし、もう少しゆけば鏡川がある。

――これはとんだ事になるぞ。

こう思って、力いっぱい、けんめいに馬を煽って追いつこうとした。

そのとき、川のほうに向って、魚釣にでもゆくのだろう、釣竿と魚籠を持った(脇差だけ差した)侍が一人、暢気そうに歩いていた。それが、激しい馬の音に気づいて振返った。おそらく裏金の乗馬笠と衣服とで、これは城主だと直感したのに違いない。

「…………」