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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくはくき

竹柏記

山本 周五郎

Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme

Aozora Bunko

――それならなおいいじゃないか。

孝之助はこう思うだけであった。

八束が機会に恵まれただけでも、ずっと気が楽になった。これから江戸へゆけば、藩主利秀に(今のところ)気にいられているらしいから、あるいは相当のところまで出世するかもしれない。もしそうとすれば、これまでの気持のうえの負債は、おそらく完全に消えるだろう、と思った。

そして岡村八束は、藩主の参覲の供に加わって、江戸へ去った。

そのあと、孝之助に対して、かなりひろくいやな評が伝わった。例の格式更新の願いが彼の吝嗇から出たというのである。奉行職になれない不満だろう、とか。格式よりも金のほうが大事なんだろう、とか。侍らしくない、家中一般の面目にかかわる、などというのである。なかでもっとも悪質なのは、

――高安はひそかに金貸しをしている。

という噂だった。

これは他の評よりずっと後れて、五月ころから急に、弘まりだしたのであるが、孝之助はもちろん知らず、妻から注意されて初めてわかった。……杉乃はよほど心外だったらしい、珍しく彼女のほうから部屋へ来て、こういう評判があるが、事実かどうか、とひらき直って訊かれた。