Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わらうあくま

笑う悪魔

野村 胡堂

Lesen Sie 笑う悪魔 (わらうあくま) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.687 Zeichen · 55 Bildschirme

Aozora Bunko

「入る前、扉の鍵が掛って居たのですね」

「え、奈々子さんが衣嚢から鍵を出して開けました」

「その鍵は――」

「抜かずに、そのまま扉に差込んであったようです」

「外側からですね」

「――――」

美保子はうなずきました。さすがに少し疲れた様子です。

「もう宜いでしょう、あんまり話させると、又出血しますからね」

兄の春樹は気が気でない様子で、先刻から椅子に座ったり立上ったり、切りに気を揉んで居ります。

「いや、飛んだお邪魔しました、お大事に」

花房一郎も諦めた様子で、こんな事で切上げて廊下に出ました。

其処には新聞記者が十二三人、花房一郎と千種十次郎を取囲んで、質問の矢を八方から浴せかけます。

「奈々子さんはどうなったのです」

「傷いた美保子さんの容態はどうです」

「少し発表して下さい」

「写真を撮っても構わないでしょうな」

そう言う記者達の顔には、熱心さが溢れますが、花房一郎は、

「美保子さんは思いの外元気だ。生命にかかわるような事は無いと医者は言うが、まだ何んにも纏まったことはわかって居ないのだ」

巧みに鋒鋩を避けて、事件のあった部屋に入るのです。

「千種君、君はいろんな事を知ってる筈だ、同業の誼で、少し漏らし給えよ」